返却口から届く本

あらすじ

閉館後の図書館で、職員の真琴は返却口から存在しない蔵書が戻されるのを見る。

利用者の相原に確認するうち、本の貸出記録は今夜の出来事を先回りして記し始める。

真琴
真琴

相原さん、先ほど本を返されましたか?

相原
相原

いいえ。今日は図書館へ行っていません。

真琴
真琴

相原さんのお名前で一冊戻ってきました。

相原
相原

本の題名は何ですか?

真琴
真琴

題名がありません。表紙も真っ白です。

相原
相原

私の貸出履歴にはありますか?

真琴
真琴

今、追加されました。貸出日は明日です。

相原
相原

それはおかしいですね。

真琴
真琴

中に栞が挟まっています。

相原
相原

触らないほうがよくないですか?

真琴
真琴

栞に私の名前と、今の時刻があります。

相原
相原

本は開かないでください。

真琴
真琴

もう開いてしまいました。最初のページだけ文章があります。

相原
相原

何て書いてあるんです?

真琴
真琴

「職員は利用者へ電話した」

相原
相原

今していることですね。

真琴
真琴

次の行が増えました。

相原
相原

読まないで閉じてください。

真琴
真琴

閉じても返却口から同じ本が出てきます。

相原
相原

何冊目ですか?

真琴
真琴

四冊目です。全部少しずつ厚くなっています。

相原
相原

出口は開きますか?

真琴
真琴

自動ドアが反応しません。

相原
相原

警備員さんは?

真琴
真琴

カウンターの下でページをめくる音がします。

相原
相原

本には、次に何が起きると?

真琴
真琴

最後に「返却者はまだ館内」と増えました。