雨の夜、佳奈の玄関前に、毎日一部ずつ古い新聞が置かれる。
不気味に思って調べた二人は、それが怪異ではなく、忘れられていた小さな約束の続きだと知る。
由美、また新聞が置いてある。
念のため、今わかっていることを順番に確認しよう。
昨日も言ってたやつ?
今のところ、それ以外に変わった様子はない。
うん。今日は二十年前の日付。
少し待って。もう一度、周りを確かめてみる。
誰かの嫌がらせかな。
慌てずにいこう。変化があったらすぐ伝える。
でも毎日、日付が一日ずつ進んでる。
見間違いかもしれないけど、気になったことは全部話す。
管理人さんに聞いた?
分かった。こっちでも考えながら聞いてる。
昔この部屋に住んでた人が購読してたって。
念のため、今わかっていることを順番に確認しよう。
二十年前の新聞を?
今のところ、それ以外に変わった様子はない。
認知症のお父さんのために、昔の日付を読み直してたらしい。
少し待って。もう一度、周りを確かめてみる。
その人は今どこに?
慌てずにいこう。変化があったらすぐ伝える。
娘さんは引っ越した。お父さんは施設へ。
見間違いかもしれないけど、気になったことは全部話す。
じゃあ誰が置いてるんだろう。
分かった。こっちでも考えながら聞いてる。
防犯映像を見せてもらった。
念のため、今わかっていることを順番に確認しよう。
何か映ってた?
今のところ、それ以外に変わった様子はない。
隣の小学生だった。
少し待って。もう一度、周りを確かめてみる。
え?
慌てずにいこう。変化があったらすぐ伝える。
古紙置き場で見つけて、日付順に並べてたって。
見間違いかもしれないけど、気になったことは全部話す。
何のために?
分かった。こっちでも考えながら聞いてる。
前の住人が戻ってきたら喜ぶと思ったらしい。
念のため、今わかっていることを順番に確認しよう。
ちょっと安心した。
今のところ、それ以外に変わった様子はない。
私も。明日、その子にお礼を言う。
少し待って。もう一度、周りを確かめてみる。
新聞はどうするの?
慌てずにいこう。変化があったらすぐ伝える。
管理人さんが娘さんへ連絡してくれた。
見間違いかもしれないけど、気になったことは全部話す。
よかった。
分かった。こっちでも考えながら聞いてる。
今夜の分だけ、雨に濡れないよう玄関の中へ入れた。

