予約されていない席

あらすじ

閉店間際のレストランで、絵里は予約表にない一人席が用意されていることに気づく。
席には、まだ注文されていない料理が少しずつ運ばれてくる。

同僚の奈緒と確認するうち、伝票には絵里の行動が注文として印字され始める。
最後の注文は「店を出る」で、提供時刻だけが空欄だった。

絵里
絵里

奈緒、予約表まだ持ってる?

奈緒
奈緒

持ってるよ。
確認漏れあった?

絵里
絵里

窓際に一人分の席ができてる。

奈緒
奈緒

そこ、今日は使ってないよ。

絵里
絵里

でも水とおしぼりが置いてある。

奈緒
奈緒

片づけ忘れじゃない?

絵里
絵里

椅子が引かれた。
誰もいないのに。

奈緒
奈緒

店長は?

絵里
絵里

厨房。
見に行ったら誰もいなかった。

奈緒
奈緒

さっきまでいたよね?

絵里
絵里

うん。
でも鍋だけ動いてる。

奈緒
奈緒

店を閉めて出よう。

絵里
絵里

入口が「営業中」に戻ってる。

奈緒
奈緒

鍵は開く?

絵里
絵里

開かない。
窓際にスープが出てきた。

奈緒
奈緒

誰が運んだの?

絵里
絵里

見てなかった。
伝票だけ増えてる。

奈緒
奈緒

注文内容は?

絵里
絵里

「店内を確認する 一名」
今、私がしたこと。

奈緒
奈緒

次の注文は?

絵里
絵里

まだ空欄。
あ、印字された。

奈緒
奈緒

何て?

絵里
絵里

「電話で奈緒に相談する 一名」

奈緒
奈緒

会話を見られてる。
スマホ切って。

絵里
絵里

切った。
今度はメイン料理が置かれた。

奈緒
奈緒

席には誰かいる?

絵里
絵里

鏡には座ってる人が映る。
顔はメニューで隠れてる。

奈緒
奈緒

裏口から出て。

絵里
絵里

新しい伝票が出た。
注文は「店を出る 一名」。
提供時刻だけ空欄になってる。