無人レジの十三人目

あらすじ

閉店作業中の彩花は、無人のセルフレジが勝手に客数を数えていることに気づく。
店内には自分しかいないのに、表示は「十三人目」まで増えていた。

友人の希と話す間にも、見えない買い物客の精算音が順番に鳴る。
最後のレジだけは、彩花自身を商品として読み取ろうとしていた。

彩花
彩花

希、まだ仕事中?

希

もう帰ったよ。
彩花は?

彩花
彩花

閉店作業。
でもセルフレジが変。

希

故障?

彩花
彩花

誰もいないのに、
「十二人目のお客様」って表示された。

希

店員さんが残ってるとか?

彩花
彩花

私だけ。
入口も施錠した。

希

電源を切れば?

彩花
彩花

切った。
一台だけ画面が消えない。

希

警備員を呼んで。

彩花
彩花

呼んでる。
今、精算完了の音が鳴った。

希

商品は置かれてる?

彩花
彩花

何もない。
でもレシートが出てきた。

希

何を買ったことになってるの?

彩花
彩花

「帰り道 一点」
値段は空欄。

希

絶対そこから動かないで。

彩花
彩花

表示が「十三人目」になった。

希

誰か入ってきた?

彩花
彩花

自動ドアは閉まったまま。
床の足跡だけ増えてる。

希

足跡はどこへ?

彩花
彩花

最後のレジに並んでる。
十二人分くらい。

希

彩花は列から離れて。

彩花
彩花

離れたら、足跡が全部こっちを向いた。

希

警備員はまだ?

彩花
彩花

電話はつながってる。
でも受話器の向こうでレジ音がしてる。

希

切って。
裏口から出て。

彩花
彩花

裏口の前にもレシートが落ちてる。

希

何て書いてある?

彩花
彩花

「十三人目 未精算」。
今、私のスマホをレジが読み取った。