あらすじ
在宅勤務中の拓海は、終了したはずの画面共有が続いていることに気づく。
参加者一覧には、自分と同じ名前がもう一人表示されていた。
同僚の直人と確認すると、共有画面は数分先の拓海の操作を映している。
やがて画面の中の拓海は、カメラの外にいる何かへ席を譲った。
拓海
直人、会議まだつながってる?
直人
もう切ったよ。
全員退出したはず。
拓海
画面共有の枠が消えない。
直人
アプリ閉じれば?
拓海
閉じた。
でもデスクトップに映像が残ってる。
直人
何の映像?
拓海
私のパソコン画面。
少しだけ動きが違う。
直人
録画じゃない?
拓海
時計が三分先になってる。
直人
未来の画面ってこと?
拓海
今、映像の中でフォルダを開いた。
直人
拓海は開いてないの?
拓海
触ってない。
でも三分後、同じ場所を押したくなった。
直人
押さないで。
拓海
参加者一覧も出た。
私が二人いる。
直人
もう一人のカメラは?
拓海
真っ暗。
音声だけ入ってる。
直人
何か聞こえる?
拓海
キーボードの音。
私の机の下からも同じ音がする。
直人
席を離れて。
拓海
映像の私はまだ座ってる。
直人
三分先なら、そのあと何をする?
拓海
急に後ろを見た。
でも映像には何も映ってない。
直人
拓海は振り向かないで。
拓海
もう一人の参加者がチャットを送った。
直人
何て?
拓海
「交代まで一分」って。
直人
パソコンの電源を抜いて。
拓海
抜いた。
画面は消えたけど、カメラのランプだけ点いてる。
今、背後で椅子を引く音がした。

