午前三時の校内放送

あらすじ

忘れ物を取りに夜の学校へ戻った結衣は、誰もいない校舎で校内放送を聞く。
放送は、結衣がこれから通る場所を順番に読み上げていた。

友人の茜に助けを求めるが、放送の声は次第に結衣自身の声へ変わっていく。
最後の案内先は、放送室ではなく、結衣のすぐ後ろだった。

結衣
結衣

茜、学校の警備って夜もいるよね?

茜

いると思う。
忘れ物取りに行ったの?

結衣
結衣

うん。
でも校内放送が流れてる。

茜

先生が残ってるんじゃない?

結衣
結衣

「二階廊下を通過」って。
今いる場所を言われた。

茜

結衣のこと?

結衣
結衣

名前は言ってない。
でも次に曲がる角まで当たった。

茜

すぐ玄関に戻って。

結衣
結衣

放送が「玄関は使用できません」って。

茜

本当に開かない?

結衣
結衣

鍵がかかってる。
入ったときは開いてた。

茜

警備室へ行ける?

結衣
結衣

放送が先に「警備室は無人です」って言った。

茜

誰が話してるの?

結衣
結衣

女の声。
少しずつ私の声に似てきてる。

茜

耳をふさいで走って。

結衣
結衣

ふさいでも聞こえる。
スマホから流れてるみたい。

茜

電源切って。

結衣
結衣

切れない。
放送室のランプが見える。

茜

中に誰かいる?

結衣
結衣

窓に人影がある。
私と同じ髪型。

茜

入らないで。

結衣
結衣

影がマイクに近づいた。

茜

何て言った?

結衣
結衣

「三階、放送室前」
今いる場所。

茜

階段を下りて。

結衣
結衣

次の放送が「結衣は振り返ります」って。

茜

振り返っちゃだめ。

結衣
結衣

まだ向いてない。
でも放送は「後ろに到着しました」って、私の声で言った。