使われていない改札

あらすじ

終電後、航は駅構内に普段はない古い改札口が点灯しているのを見つける。

駅員へ助けを求めるが、改札は航の移動を先回りして記録し、出口を一つずつ消していく。

航

すみません、北口の端に古い改札があります。

駅員
駅員

北口の改札は三台だけですが。

航

四台目です。木でできています。

駅員
駅員

近づかず、中央改札へ戻ってください。

航

切符が一枚出てきました。

駅員
駅員

取らないでください。

航

もう手に取りました。日付が今日です。

駅員
駅員

行き先は書かれていますか?

航

「改札の内側」とだけ。

駅員
駅員

航さん、今は改札の外ですか?

航

はい。たぶん。

駅員
駅員

床の色を確認してください。

航

さっきまで白いタイルでした。今はホームと同じ黄色です。

駅員
駅員

その改札を通ってはいけません。

航

通っていません。向こうから機械が開きました。

駅員
駅員

中央改札は見えますか?

航

振り返ったら壁になっています。

駅員
駅員

防犯カメラで探します。動かないでください。

航

天井のカメラが全部こちらを向きました。

駅員
駅員

こちらの映像には誰もいません。

航

古い改札が「入場」と表示しました。

駅員
駅員

表示は見ないでください。

航

切符に穴が増えています。

駅員
駅員

何個ですか?

航

私が後ろへ下がるたび一つずつ。

駅員
駅員

その場に止まって。

航

止まりました。でも改札のほうが近づいてきます。

駅員
駅員

線路へは下りないでください。

航

ホームがありません。改札の向こうも同じ通路です。

駅員
駅員

こちらから構内放送を止めます。

航

今、駅員さんの声で「切符をお取りください」と聞こえました。